炎上して話題になった、藤本タツキの長編読切といえばルックバックでしょう!
ルックバックは、学校新聞の四コマ漫画を描いて、人より絵が上手いことを自覚していた藤野と不登校だが天才的に絵が上手い京本の2人が主人公の長編読切です。
この作品は、現実の世界の出来事が取り入れられており、多くのファンを魅了しました。
ところが、一部読者が炎上し、クレーム騒動にまで発展した問題作としても知られています。
さらに、京アニ事件のパクリだと批判されるなど、名作でありながら批判の渦に晒された作品です。
では、一体なぜ、名作と評価する人と批判をする人で、大きく賛否が分かれているのでしょうか?
今回は、ルックバックが炎上し、クレーム騒動になった経緯と京アニ事件のパクリだと言われてしまった理由について解説していきます!
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ルックバック炎上クレーム騒動の理由は?
ルックバック 読了 pic.twitter.com/iLwvPDrYDY
— 源八 (@honmononogenya) December 4, 2022
ルックバックは、原作者藤本タツキの人生を取り入れた作品です。
多くの描写が原作者本人の過去とリンクしていたり、主人公の名前を足すと藤本タツキになるなど、原作者本人の要素を多分に含んでいました。
そのため、藤本タツキファンからは、絶賛の嵐で面白いと話題になりましたよね♪
ところが、絶賛するファンとは裏腹に炎上クレーム騒動に発展していました。
これは、一体どういうことなのでしょうか?
まずは、ルックバックが炎上した原因を見ていきましょう!
ルックバック炎上の原因は犯人の描写!
ルックバックの修正、これそのままクレーム入った時のタツキ先生の気持ちではないか?炎上してこの修正を出して来るのを目の当たりにすると、表現者の心には何人も鎖をつけることはできないのだなと思う。この修正までが作品になってしまった。 pic.twitter.com/uuASit1u3M
— は * る (@PlasterStar999) August 2, 2021
ルックバックは、四コマ漫画を書き、自分が人よりも絵が上手いと傲っていた藤野と、不登校ながら天才的な画力を持った京本が織りなす、衝撃のストーリーが話題の作品です。
学校新聞で四コマ漫画を書いていた藤野に、担任は不登校の京本に四コマ漫画の枠を分けてくれと提案されました。
藤野は「不登校の奴に絵なんか描けるわけがない」と侮っていましたが、京本が描いた作品に衝撃を受けることになります。
自分が井の中の蛙だったことを知った藤野は、絵を猛練習しますが、天才には勝てないと諦め筆を折ってしまいました。
そして、卒業式の日に、藤野が京本に卒業証書を渡すことになり、京本本人と初めて対面。
その時、藤野は、京本が自分のファンであったという衝撃の真実を知ったのです。
それがきっかけで再び絵を描くことを決意し、藤野は京本とタッグを組んで漫画家の道へと歩み出します。
ところが、京本が美大に行くと言い出し、コンビを解消することになってしまうのです。
これに腹を立てた藤野は、絶交だと言うのですが、美大に入った京本に衝撃の事件が起こりました。
なんと京本は、美大のキャンパスで精神疾患の男に殺害されてしまったのです!
ルックバック炎上の理由は、この殺害シーンにあります。
現代において、精神疾患を抱える人は多くなっており、身近な人が精神的な病を抱えていることも多い時代になっていませんか?
そんなご時世で精神疾患の人が殺人を犯したという描写が、まるで精神疾患の人が人殺しをする危ない奴だと思われると炎上したのです!
その後、この描写は大きなクレーム騒動に発展してしまいました。
クレーム騒動に発展し再々修正された!
ルックバックの炎上箇所が再々修正されてるとは知らなかった。
保存用に単行本を買ってきたら、Web版の修正前と修正後のどちらでもない内容になってて驚いた。いい落とし所になってて良かった。 pic.twitter.com/RCEvp9iLyN
— 結城📷 (@soushi7006) September 5, 2021
犯人が精神疾患であるという設定は、読者に不快なイメージを与えてしまい、クレーム騒動になったルックバック。
その後の対応として、ルックバックは問題シーンの修正が行われました。
ところが、修正を行った結果、今度はファン達からのクレームが勃発!
理由としては、犯人の動機がわからなくなったや、藤本タツキの良さが消えてしまったなど、ファンからするとショッキングな内容でした。
それを受けた編集部は再修正をし、さらに単行本化される際に再々修正を行います。
この再々修正で、物語の辻褄を合わせつつ、藤本タツキの良さと精神疾患への配慮などバランスが取れたようですね。
この件は、表現の自由はあれど、世間がどう思うのか、配慮する必要もあるということを感じさせる一件となりましたね。
原作者の表現を否定するのは、表現の自由を害する事になり良くないですし、読者が不快になることも良くありません。
SNSなどで、意見や感想が可視化されたからこその難しさが、この一件で浮き彫りとなりました。
京アニ事件のパクリで批判の渦!
“ルックバック”読みました
僕は音楽を作ってるわけでも作品を作ってるワケでもないけど、すごく心に刺さったというかエグい抉られたわ
京都の放火事件だったりoasisの曲とかハリウッド映画の事とか、フィクションに対する一つの答えを現してる気がして読めば読むほど面白い不思議な作品だった pic.twitter.com/Y2WinIycdl— 替え玉バリカタ (@ShinChan773) July 23, 2021
ルックバックは、犯人の描写が原因で炎上し、クレーム騒動に発展しました。
その後、再々修正が行われ、なんとか落ち着きを見せましたが、犯人の描写以外にも批判を受けている事があります。
一体、どこを批判しているのでしょうか?
次は、ルックバックが批判されている理由について見ていきましょう!
事件の内容が京アニ事件のパクリだと批判されている!
ルックバックの修正の件、「絵を描く=役に立たない」という世間の価値観と藤野の絶望とが対応してるから良いと思う
京アニのオマージュの方がインパクトはあったけど pic.twitter.com/zxlhFU20oH— 意味なく生きる (@yattsukeshig0t0) August 2, 2021
天才である京本は、藤野とのコンビを解消しました。
この行為を、藤野は裏切りだと感じ、絶好だと仲違いする事になるのですが、その後最悪の事件が発生します。
その事件こそが、炎上した精神疾患の犯人による殺人事件です。
実は、この事件の内容が京アニ事件と酷似しており、パクリだと批判されていました!
京アニ事件といえば、歴史あるアニメ会社「京都アニメーション」に、精神疾患の男が侵入し、自分の作品をパクったとして、放火した最悪な事件ですよね。
ルックバックで、美大を襲った犯人も精神疾患の男が自分の作品をパクったとして、面識もない京本を殺害するシーンが描かれます。
この描写が、京アニ事件のパクリだとして批判されてしまったのです!
では、なぜ藤本タツキは、京アニ事件と同じような構成や動機で、美大の事件を描いたのでしょうか?
次は、この事件の内容がパクリだったのか考察していきたいと思います!
ルックバックは藤本タツキの思いを描いていると考察!
ルックバック読みました!!
藤本先生の京アニへの想いや愛が伝わって大変感動しました😢 pic.twitter.com/uZeiS7ezeI— 🌟IZUMO🌟 (@IZUMO06558717) July 18, 2021
京本が殺害された美大の事件が、京アニ事件のパクリだと批判されているルックバック。
しかし、私はルックバックはパクリではなくオマージュだと考察します。
そもそもパクリとオマージュを一緒にしてしまう人もいますが、この2つは似て異なるものですよね。
パクリには、作者の思いがありませんが、オマージュには作者の思いが込められています。
今回の場合は、京アニ事件のオマージュだと言えるでしょう。
藤本タツキは絵を描くという仕事をしていますし、京アニ事件に心を痛めた1人だと思います。
その結果、京アニ事件を忘れないでという思いや、藤本タツキなりの鎮魂歌のようなつもりで、美大の事件を描いたのではないでしょうか?
ルックバックでは、藤野が「自分が外に京本を連れ出さなければ」と後悔する様子が描かれます。
そして、夢なのかパラレルワールドなのかわかりませんが、藤野が犯人を止めるフィクションシーンもあるのです。
このシーンは「京アニ事件をこんな風に止められたら…」という、藤本タツキ自身の思いも込められていたのではないかと思います。
藤本タツキにとって、それほどまでに悲しく心を痛めた事件だったからこそ、美大の事件と京アニ事件を重ねたのでしょう。
そう考えると、パクリだという批判ではなく、京アニ事件を忘れず被害者の事を思う気持ちこそが、ルックバックを読む際に大切な事なのではないでしょうか。
まとめ
藤本タツキ『ルックバック』の単行本が、本日9月3日に発売
修正版からさらにセリフなどを変更した再修正版のみを収録した144ページ
https://t.co/yxyoj6HXxr pic.twitter.com/ezWKWc94is— ファミ通.com (@famitsu) September 2, 2021
今回は、ルックバックが炎上し、クレーム騒動になった原因と、京アニ事件のパクリだと批判された理由について解説していきました!
ルックバックは、犯人が精神疾患の男であり、その描写が精神疾患の人の立場を危うくするとして炎上し、クレーム騒動に発展します。
クレーム騒動の結果、再々修正まで行われ、原作者である藤本タツキの思いと、読者の批判のバランスを取ることが出来たようです。
また、美大で起きた事件の内容が、京アニ事件と酷似していることから、パクリだと批判されてしまいました。
しかし、内容を見ていくとパクリではなくオマージュであり、藤本タツキの思いが現れた描写であったことがわかります。
この作品は、京アニ事件を忘れないという思いと、被害者に送る藤本タツキなりの鎮魂歌だったのではないでしょうか。
ルックバックは、原作者本人の過去を作品に投影していることから、様々な思いが込められた作品だったのだと思います。
今回の炎上やクレームは、原作者の考えと読み手の捉え方の違いや、SNS時代でオープンになった批判が、表現の自由を侵害しないのか、考えさせられる一件となりました。
表現の自由があるとはいえ、原作者の表現が悪い場合もあります。
しかし、それをすぐに批判するのではなく、原作者の思いをきちんと汲みとった上で、意見を発信ようにしてほしいですね。